世界が歪む。

机。

その上のパソコン。

パソコンの画面。

画面の中の文字。

そして、キーボードも歪んだと思った瞬間、急速に、キーボードと顔が近付くのを感じた……



〜僕の居場所〜



此処は何処だろう。

学校には行った。

教室で授業を受けた。

放課にミレイ会長の招集を受け、クラブハウスへ行って、仕事をして…

パソコンに向かった…

その後から記憶が飛んでいる。

視界が少し霞んでいるが、天井や周りの物を見ると、自室のようだ。

息をするのもさえも苦しく、出来るものならば何もしたくない。

毛布だって、布団だって被されているのにヤケに寒いのは何故だろうか。

手足を曲げ、丸まって横になっていたのを更にギュッとちぢこませる。

少しでも寒さを逃がしたくなかった。

時計を目の端で確認すれば、まだ授業がある時間だ。

「あれ?ルルーシュ、起きてたの?」

そう声がし、足音が此方にパタパタと聞こえてくる。

オレはダルい体を、無理に動かし、仰向けにした。

スザクの声が、聞こえた、気がした。

フっ…

妄想甚だしいな。

居るわけが無いじゃないか。

ヤツは今学校のハズだ。

学校では無かったら軍だろう。

自分のご都合主義な考えに自潮気味だ。

「熱は?かなり高いって会長に聞いたけど」

そして、その誰かはベッドの傍に立ち、その誰かの手が額に触れる。

冷たくて気持ちが良い…

ずっと触っていてもらいたい。

そんな気持ちにさせる手だった。

「スザク…」

呼ぶと柔らかい物腰の返事が返ってくる。

居ないはずの人間の名を呼んでも、熱で記憶が無いとでも言えば別に問題は無い。

むしろそれ程熱にさいなまれて居たとも取れるだろう。

「ずっと……ずっと、オレの傍にいろ」

霞んだ相手の顔が、微かに微笑んだ様な気がした。

「うん、居るよ。僕の居場所は、君の隣だけだから」

そうか…

良かった…

安心したら急に眠気に襲われる。

瞼がやけに重たかった。

心地好い眠りに引きずられ、柔らかいものの中に包まれて眠る様な感覚に、幸せさえ見い出してしまう。

おやすみ、スザク…

今度は本物のスザクに会いたい…

=END=




**あとがき**
訪ねて来たのはスザクです。
でもルルはスザクが来るハズがないって思ってるだけで。
自虐気味らしいです。
某恋愛シュミレーションゲームの櫻井さんキャラが主人公に『俺の居場所は○○(主人公の名前)の隣だ』と言っていたので、
スザクにも言わせてみたくなりました。
07.04.15